バイクがスリップする原因を知っておこう

なぜバイクはスリップしやすいのか?

バイクは2つのタイヤを、回転させながら走る乗り物です。
地面との接点はタイヤのほんの一部分だけと、とても狭い範囲で路面をグリップしています。
同時にバイクには自立できない不安定さがあり、少しでもバランスを崩すと、傾いてしまいます。
そして何らかの理由でバランスを崩したとき、バイクのタイヤは路面との接点を失い、スリップという現象を起こします。

バイクが路面へのグリップを失うのはさまざまな原因があり、最も多いのが路面の凍結や雨水、砂利などの異物です。
凍った地面は、バイクでなくてもつるつると滑って、うまく進めません。
また、路面とタイヤの間に雨水、砂利などの異物が入り込んだときも、路面からタイヤが浮いてしまいます。

タイヤの劣化、摩耗、空気圧の低下などもスリップの原因になります。
このほかにも、カーブのときにハンドル操作を誤ったり、ギアチェンジをしてタイヤが空回りするなどでもスリップを起こします。
特にバイクは角度をつけて曲がりますから、カーブの接地面が狭くなり、スリップのリスクが高まるのです。

スリップダウン・ハイサイドを防ぐ方法

タイヤがスリップして転倒することを、スリップダウンと言います。
スリップダウンは、バイクが倒れるときにライダーも一緒に滑りながら倒れるのが一般的です。
凍結や雨、砂利などで滑りやすくなっている路面で起こりやすいので、天候が悪い日は要注意です。

特に雨天のマンホールは滑りやすく、危険です。
晴れた日であっても砂利などで滑ることがあるので、路面の状態に目を配りながら走行することが大切です。
そして日頃のメンテナンスで、タイヤの状態や空気圧をチェックすることも忘れないようにしましょう。

また、カーブ時に起こる転倒「ハイサイド」にも、十分に注意しなければいけません。
転倒の中でもハイサイドは大けがにつながりやすく、とても危険だからです。

コーナリングで減速する際、前のタイヤに大きな負荷が掛かり、後ろのタイヤか浮きやすいのです。
このときに急激なエンジンブレーキを掛けたり、路面の状態などによって後輪のグリップが戻ることがあります。
グリップが戻った反動で、バイクが大きく跳ね上がるなど制御できない状態になり、転倒することが多いのです。

ハイサイドでは、カウボーイが暴れ馬から振り落とされるようにバイクから放り出されて転倒するため、とても危険です。
ハイサイドを防止するためには、コーナリング時に急にアクセルを戻す、急ハンドルを切る、急ブレーキをかけるなど「急激」な操作をしないことです。
ハイサイドが起こってしまうと、熟練のプロレーサーでも対応できないといわれていますから、未然に防ぐことが何よりも大切です。