高校生に多い隠れ乗り

高校生の隠れ乗りとは?3ない運動に一因

バイク事故死の削減を目指し、バイク関連団体は2030年までに死亡事故を半分にする目標を設定しています。
高校生を含む運転免許保持者に対する安全教育の対象を広げ、事故防止に努めたいと学校教育との連携を望んでいますが、「3ない運動」という制約によりなかなか成果が上がりません。

1982年に全国高等学校PTA連合会により決議された「3ない運動」は、高校生が免許を取らない、バイクを与えない、運転させないことを徹底させ、現在でも全国約半分の地域で実質的に続いています。
しかし、道路交通法は16歳から運転免許が取得できることを認めているため、学校に内緒で免許を取る「隠れ乗り」が後を絶ちません。
結果として、不慮の事故が起きることがあります。

「3ない運動」が実施されている地域では、高校生の免許保持者が事故に遭っても交通事故として扱われず、生徒指導の対象とされます。
場合によっては停学や退学といった厳しい処分が下され、問題が沈静化させられます。

若年層のバイク死亡事故を減らすには

バイク関係者は教育現場が古い考えに囚われたまま生徒指導を続けることに疑問を感じており、運転技術の未熟な若年ライダーによる死亡事故が年間一定数発生していることに危機感を持っています。
無免許運転ではなく、免許を取得した高校生に対して適切な安全教育を行うべきだと主張しています。

「3ない運動」が施行されている地域の高校生は、免許取得が学校にばれることを恐れ、「隠れ乗り」として行動せざるを得ません。
バイク業界は、少なくとも生徒指導をやめ、学外で免許取得を認めることで生徒が安全教育を受けられるようにするべきだと提案しています。
その結果、社会が要求する安全運転の技術を身につけた上で社会に出ることが可能となると主張しています。

しかし、バイク業界も教育現場と同様に「3ない運動」の影響を受けています。
日本自動車工業会二輪車委員会によれば、教育委員会や学校からの依頼があれば指導員を派遣するなどの対応は可能ですが、個人からの依頼は受け付けていないとのことです。
「3ない運動」が実施されている地域において「隠れ乗り」が生じているにもかかわらず、教育委員会や学校からの依頼がない限り、高校生に安全運転講習が受けられないというバイク業界団体の姿勢には矛盾があると言えるでしょう。

最終的には、「3ない運動」の見直しと教育現場とバイク業界の連携が必要となるでしょう。
高校生が安全にバイクに乗ることができる環境を整えるためには、教育現場が古い制度に囚われない柔軟な対応をし、バイク業界も個人からの依頼に対して積極的に対応することが求められます。
そうした取り組みによってバイク事故死の削減を目指すとともに、若者が安全にバイクを楽しむことができる社会を実現できることでしょう。