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東京都内でバイク死亡事故が増加

交通事故死の半数近くがバイク

2023年に入ってから、東京都内でバイクに乗っている際の交通事故死が急激に増えています。
警視庁交通総務課の発表によれば、2023年1月から4月4日までの間の都内での交通事故による死者数は27人で、そのうちバイク事故で亡くなった人が12人と半分近くを占めているとのことです。
たとえば3月28日には、板橋区の環状7号で自動車がバイクに追突し、転倒したバイクに乗っていた40歳の会社員の男性が死亡する事故が発生しました。
当該自動車は逃走しましたが、警視庁は同日、道路交通法違反などの容疑で運転していた埼玉県富士見市の自営業の男性を逮捕しています。

そのほか、2023年の3月だけで7人が亡くなっています。
観光シーズンが本格化してバイク乗りにとってツーリングの機会も増えることから、警視庁は注意を呼びかけている状況です。

バイクの死亡事故での致命箇所とは

交通総務課によれば、バイクに乗っている最中の事故で亡くなった12人全員が対自動車の事故でした。
そのうち通勤・通学中だったのは9人で、慣れ親しんだ道で事故に巻き込まれたケースが多いとされています。
転倒時に強い衝撃を受けたり、車に轢かれたりして、胸や腹部に怪我をした人が8人でした。
胸部プロテクターを着用していた人は一人もいませんでした。

警視庁の分析によると、令和4年のバイク事故死者(40人)の致命的な傷の部位は、頭部(18人)に次いで胸部(10人)が多かったとのことです。
しかし、警視庁が2022年7~8月に実施したバイク利用者3,000人の調査では、胸部プロテクターの着用率はわずか8.9%でした。
交通総務課は、面倒くさいかもしれないが必ず胸部プロテクターを装着して自分の身を守ってほしいと訴えています。

もちろんバイクに乗る際には、頭を保護するヘルメットも事故予防に不可欠です。
交通総務課によれば、2022年のバイク事故死者40人中、11人は事故時にヘルメットが外れていたとされています。
顎のベルトをきちんと締めることが重要だとされています。

バイク用の胸部プロテクターを選ぶポイント

バイク用の胸部プロテクターを選ぶ際には、まず安全基準を満たしているか確認し、自分の体に合ったサイズを選びます。
次に、長時間のライディングでも快適に過ごせる通気性が良いものや、走行中の負担を軽減できる軽量なプロテクターを選ぶことが望ましいです。

また、胸部だけでなく周囲の部位もカバーできる保護範囲の広いものを選び、着脱が容易なものを選ぶことで、着用や脱衣が楽に行え緊急時に素早く脱ぐことができます。
これらの点を考慮し、適切なプロテクターを選んで快適で安全なライディングを楽しみましょう。

交通事故の多い交差点を把握しておこう

一般ライダーも活用したい全国交通事故多発交差点マップ

日本損害保険協会は、最新版の「全国交通事故多発交差点マップ」を発表しました。
このマップは、交通事故の半数以上が起こる交差点やその近くでの事故防止・軽減を目指し、2021年の全国の都道府県ごとのデータをもとに地方新聞社の協力のもと作成されています。
都道府県ごとのページではトップ5の交差点を取り上げ、交差点の特徴や事故類型の主要な要因・予防策などを紹介しています。

今年度の更新内容は次のとおりです。
まずトップページの日本地図を大きくし、視認性を向上させ、各都道府県のページへのアクセスを容易にしました。
さらにトップページには、事故件数や死亡者数の「交差点事故率」と全国の「事故多発交差点ワースト10」を掲載し、交差点での事故の多さを実感できるよう工夫が施されています。

全国交通事故多発交差点マップは交通事故の防止や軽減を目指すための重要な情報源ですから、さまざまな活用方法も考えられるでしょう。
たとえば、マップのデータは地図メーカーのカーナビデータにも採用され、実際に運転者の注意喚起に役立てられている例もあります。
また、過去のデータと併せて交通事故の減少を目指すヒントや、交差点の改善に向けた参考資料としても利用されることも期待されています。

全国ワーストの交通事故多発交差点

2021年(令和3年)の交通事故が多い交差点の全国ワースト1位は、東京都の大原交差点です。
杉並区和泉1丁目1番に位置するこの交差点では、1年間で人身事故が29件も発生しました。
高速道路の柱が視界を遮っており、さらに朝夕の通勤時に渋滞が起こることが原因とされています。

ワースト2位には、同じく東京都の池袋六ツ又交差点でした。
豊島区東池袋2丁目63番にあるこの交差点での人身事故件数は、21件にのぼります。
曲がり角が大きく、高速道路の柱が視界を遮る状況があり、また朝夕の通勤時間帯に渋滞が発生することが事故多発の要因となっていると考えられます。

交差点を走行する際は細心の注意を

ライダー自身も、全国交通事故多発交差点マップを参照し、自分が運転する地域の事故多発交差点を把握することが重要です。
交通事故の多い交差点でバイクを運転する際は、速度を適切に落として周囲の状況を把握しやすくし、自動車や歩行者の動きに注意を払いましょう。
視界不良や死角が事故の原因となるため、視認性を確保し、信号や標識を確認して適切な行動を取ってください。
特に右折や左折時には注意が必要です。

また、他の車両との安全な車間距離を保ち、急ブレーキや急ハンドルにも対応できるよう心がけましょう。
これらの注意点を守ることで、事故の多い交差点でも安全にバイクを運転することができます。

車の車線変更後に後続バイクが衝突

状況の概要

今回は、バイクが走行中の第1車線で、第2車線から急に車が車線変更してきたことにより驚いて転倒し、その後衝突するという事故について考察します。
過失に関しては、被害者(バイク)が60%、加害者(車)が40%と評価されました。

過失割合の理由

車が車線変更を行いバイクと衝突したため、「225」の規定に従うなら過失割合は20(バイク)対80(車)となるはずです。
ただし、バイク側の具体的な過失要因として、前方不注意(+10)、ハンドル操作不適切(+10)、加害車との車間距離が10mしかなかった(+10)、過去2年間に5回の同様の事故があった(+10)ということから、過失割合が60(バイク)対40(車)となりました。

実際の状況を考慮すると、加害車の前方に右折待ちの車がいたことから、加害車が第1車線に入ることは予見可能だったと言えます。
さらに加害車は車線変更前にウィンカーを点滅させていたので、バイク側も十分に注意を払うべきでした。

また、車線変更時にバイクとの距離が10mしかなかったものの、適切な対処ができれば回避も可能だったと考えられます。
過去に同じような事故が繰り返されていたことも、過失割合が高くなる大きな要因となりました。
ただし、バイクが転倒した主な原因は加害車にあり、ある程度の過失は存在すると判断されたため過失割合がバイク60%、車40%となりました。

バイク側も油断せず常に周囲に注意をはらい不測の事態を予測すべき

バイクのライダーが留意すべきポイントとしては、周囲の状況を常に確認し、特に交差点や車線変更が予想される箇所ではより一層注意を払うことが重要です。
十分な車間距離を維持することで急な状況変化にも対応しやすくなり、衝突の危険性を減らすことができます。

ハンドル操作については、緊急時にも冷静に適切な対応ができるように正しい操作方法を習得することが大切です。
また、焦らず適切な操作を行うことで、事故を未然に防ぐことができます。
ほかの車両の動きや信号機の状況を予測し、右折待ちの車両がいる場合や車線変更の兆候がある場合には注意して対応することが要求されます。

過去に起こした事故を繰り返さないよう事故原因を検討し、改善策を見つけることが大切です。
自分の運転技術や習慣を見直し、安全運転を心掛けることが求められます。
加えて、定期的にバイクの整備を実施し、車体やブレーキなどの機能が正常に作動するようにしておくことも重要です。
これにより、緊急時にもバイクが正確に反応し事故のリスクを低減することができます。

上に挙げた注意すべきポイントを把握し、安全運転を徹底することで事故のリスクを最小限に抑えることが可能です。
そうすることで、万一同様の事故が発生した場合でも、過失割合を高める要因が少ない分、被害者過失の割合を抑制することにもつながります。

高校生に多い隠れ乗り

高校生の隠れ乗りとは?3ない運動に一因

バイク事故死の削減を目指し、バイク関連団体は2030年までに死亡事故を半分にする目標を設定しています。
高校生を含む運転免許保持者に対する安全教育の対象を広げ、事故防止に努めたいと学校教育との連携を望んでいますが、「3ない運動」という制約によりなかなか成果が上がりません。

1982年に全国高等学校PTA連合会により決議された「3ない運動」は、高校生が免許を取らない、バイクを与えない、運転させないことを徹底させ、現在でも全国約半分の地域で実質的に続いています。
しかし、道路交通法は16歳から運転免許が取得できることを認めているため、学校に内緒で免許を取る「隠れ乗り」が後を絶ちません。
結果として、不慮の事故が起きることがあります。

「3ない運動」が実施されている地域では、高校生の免許保持者が事故に遭っても交通事故として扱われず、生徒指導の対象とされます。
場合によっては停学や退学といった厳しい処分が下され、問題が沈静化させられます。

若年層のバイク死亡事故を減らすには

バイク関係者は教育現場が古い考えに囚われたまま生徒指導を続けることに疑問を感じており、運転技術の未熟な若年ライダーによる死亡事故が年間一定数発生していることに危機感を持っています。
無免許運転ではなく、免許を取得した高校生に対して適切な安全教育を行うべきだと主張しています。

「3ない運動」が施行されている地域の高校生は、免許取得が学校にばれることを恐れ、「隠れ乗り」として行動せざるを得ません。
バイク業界は、少なくとも生徒指導をやめ、学外で免許取得を認めることで生徒が安全教育を受けられるようにするべきだと提案しています。
その結果、社会が要求する安全運転の技術を身につけた上で社会に出ることが可能となると主張しています。

しかし、バイク業界も教育現場と同様に「3ない運動」の影響を受けています。
日本自動車工業会二輪車委員会によれば、教育委員会や学校からの依頼があれば指導員を派遣するなどの対応は可能ですが、個人からの依頼は受け付けていないとのことです。
「3ない運動」が実施されている地域において「隠れ乗り」が生じているにもかかわらず、教育委員会や学校からの依頼がない限り、高校生に安全運転講習が受けられないというバイク業界団体の姿勢には矛盾があると言えるでしょう。

最終的には、「3ない運動」の見直しと教育現場とバイク業界の連携が必要となるでしょう。
高校生が安全にバイクに乗ることができる環境を整えるためには、教育現場が古い制度に囚われない柔軟な対応をし、バイク業界も個人からの依頼に対して積極的に対応することが求められます。
そうした取り組みによってバイク事故死の削減を目指すとともに、若者が安全にバイクを楽しむことができる社会を実現できることでしょう。