東南アジアではバイクがなぜ人気?

バイクの普及率が高い東南アジア、普及している理由

現在の世界のバイク市場における中心地は、日本でもヨーロッパでもアメリカでもなく、じつは東南アジアです。
この地域は巨大市場を形成しており、世界的に知られた日本のバイクメーカーもこの巨大市場で多数のバイクを販売している状況です。
例えばホンダでは2020年に約1513万台のバイクを世界中で販売していますが、そのうち約1330万台が中国、インド、東南アジアでの販売実績となっています。
国別でいえばインドネシアが約386万台、ベトナムが約210万台、タイが約110万台と、同年の日本国内での販売実績約21万台と比較しても、東南アジアがいかにバイク業界においていかに重要な市場となっているかがうかがえます。

どうして東南アジアでこれほどバイクが普及しているのかというと、純粋にバイクの普及率が高いことが挙げられます。
何人に一人がバイクを1台所有しているのかを示すバイクの普及率(日本自動車工業会によるデータ)では、タイが2.3人、インドネシアとマレーシアが2.4人と、じつに2~3人にひとりがバイクを所有している数字になります。
それに対して日本は12.0人、今やモータースポーツ業界で最大の市場となっている中国でも19.0人、アメリカになると38.6人ですから、いかに東南アジア諸国でバイクが広く普及しているがわかります。
しかも人口2億人を超えるインドネシア、1億人を超えるフィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国には人口が多い国が多く、この普及率と合わせて巨大市場を形成している大きな理由となっているのです。

東南アジアでバイクが普及している理由

どうしてこれほどまでに高い普及率になっているのでしょうか?
よく挙げられる理由として、東南アジア諸国の経済事情が挙げられます。
自動車よりも購入費用も維持費も安く済むバイクを選ぶ人が多いというのです。

確かにこれはひとつの理由にはなりますが、こうした経済的な理由よりもむしろ東南アジア諸国の生活事情が深く関係していると言われています。
例えば交通事情ですが、日本と比較するとまだ十分にインフラが整っているとは言えない環境のため、小回りが効くバイクは移動手段としてとても適しているというのです。
また、人口だけでなく人口密度が高い点も理由として挙げられています。
人やモノが密集している地域では、やはり小回りが効くバイクのほうが自動車よりも使い勝手が良いのです。

もうひとつ、東南アジアの気候条件もバイクの普及を促しているとの意見もあります。
雨季になると大量の雨が振るこの地域では、コンパクトなバイクが移動手段として重宝するのです。

このように、東南アジアならではの土地・生活環境とバイクとの相性がとてもよいことから、現在のような巨大市場を形成していると考えられているのです。
こうした東南アジアの状況に操縦性に優れた日本製のバイクが合っているということが、日本メーカーのバイクが大きな人気を博している理由にもなっているようです。