バイクにバックギアがない理由とは

自動車にはあるのにバイクにはついていないバックギアとは?

バイクに乗っていて「なぜ、バックギアが付いていなんだろう?」と、疑問に思ったことはないですか?
バックギアとは後ろへ進むための機能で、リバースギアとも呼ばれます。
自動車にはバックギアが付いているのが当たり前ですが、バイクにはバックギアが付いていないのが当たり前となっています。

バイクは自動車に比べて車体が軽いので、バックをするとき足で地面を蹴って自力で後ろに進ませるか、いったんバイクを降りて手で押しながらUターンをして方向転換ができます。
しかし、このような作業を面倒に感じることも多いでしょう。
バックギアがついていれば、ギアを切り替えるだけでバックできるのに…と思ったことがあるのではないでしょうか。

大半のバイクにバックギアがついていないのは、安全性を高めるためです。
四輪で走る自動車は安定性の良い乗り物ですが、これに対して二輪のバイクは安定性がありません。
バイク本体に自立性がなく、バランスを崩せばすぐに倒れてしまいます。

このような不安定な状態で、バック走行するのはとても危険なのです。
走行中にバランスを崩して転倒する、方向が定まらず交通事故を起こすなどの事態が発生しやすいのです。
このため、一般的なバイクにはバックギアは取り付けられていません。
またバックギアを省くことで、コストを減らせるのもメリットといえるでしょう。

バックギアが搭載されている車種

大半のバイクにはバックギアが付いていませんが、中にはバックギアが搭載されているモデルもあります。
バックギアが搭載されているのは、車体の重量が300kgを超えるビッグサイズのバイクです。
あまりにも重いので、足の力で後ろに押し出したり、手で押しながら方向転換をするのが難しいためバックギアが取り付けられています。

バックギアが付いているモデルは、国産ではホンダの「ゴールドウィング」です。
排気量1833cc、重量379kgの高級ツアラーモデルで、独自開発のDual Clutch Transmissionに微速で進むウォーキングスピードモードを採用した車体です。
この機能を使って、低速で安全なバック走行を実現しました。

海外メーカーでは、BMWの「K1600B」や「K1600GT」にもバックギアが搭載されていますが、どちらも350kg級の重さを誇ります。
左ハンドルのギアボタンと右ハンドルにあるセルボタンを押すだけの簡単操作で、バック機能へと切り替えが可能となっており、こちらも取り回しの良さと安全性に配慮した設計となっています。

大型で重量級のバイクは自力でバックさせるのが一苦労で、駐輪などバックが必要になるたびに、不便さを感じることでしょう。
特に日本は土地が限られていますから狭い駐車スペースに納めなければならないケースがほとんどですし、砂利や坂道など、路面の状態が悪い駐輪場も少なくありません。
そんなときにバックギアがあれば、ストレスから解消されることでしょう。