スプロケットの働きとは

バイクにおける「スプロケット」の重要性

スプロケットは、バイクのエンジンから得られるパワーをリアタイヤに伝える役割を担っています。
エンジン側にある「フロントスプロケット」とリアタイヤ側の「リアスプロケット」をチェーンが繋ぎ、力が伝わる仕組みです。
スプロケットは連続して高速回転するチェーンと接触しており、金属同士の摩擦が発生するため、非常に過酷な状況下で働いています。

スプロケットの材質について

スプロケットの材質には、おもにアルミニウムとスチールがあります。
両者の違いは、重さと耐久性です。
アルミニウムはスチールの約1/3の重さなので、同じ形のスプロケットでもアルミ製はスチール製の1/3の重さになります。
そのため、運動性能が大幅に向上するのがアルミ製のメリットです。

ただし、耐久性はスチールがアルミニウムより優れています。
アルミ製スプロケットの寿命は約1万~2万kmですが、スチール製は約2万~4万kmと倍以上の耐久性です。
なお、新車には排気量にかかわらず、コストや耐久性を考慮してスチール製スプロケットが標準装備されています。
モトクロスなど競技用モデルではアルミ製スプロケットが採用されることもありますが、公道走行用のモデルはいずれもスチール製です。

なお、フロントスプロケットにはスチール製しか存在しません。
エンジンの出力に関係なく、カウンターシャフトから直接パワーを受けるフロントスプロケケットには高い強度が求められるため、スチールが適しているのです。
フロントとリアのスプロケットで使用されるスチールには異なる材質が用いられ、フロントスプロケットにはクロムモリブデン鋼が、リアスプロケットにはスチール(S45C)が採用されています。
また、スチール製のスプロケットは、強度を高めるために焼き入れが施されてから出荷されるのが特徴です。

スプロケットの歯数を表す「丁」という単位

一般的にスプロケットの歯数は、「丁(ちょう)」という漢字で表記されます。
英語で歯を意味する「Teeth」の頭文字「T」と丁が似ていることから、このような表記が使われるようになったといわれています。

多くのスプロケットは車種専用に開発されています。
同じ歯数でも「ボス」と呼ばれる突起があるタイプや、チェーンのサイズが違うことにより厚みが異なるため、歯数が同じだけで別の車種に適合するわけではありません。
ただし、一部のスプロケットなど他メーカーのモデルでも使用可能な汎用タイプがあります。

バイクの性能を向上させるためには、スプロケット選びが重要です。
軽量化を優先するのか耐久性を重視するのか、バイクの用途や走行条件に合わせて適切な材質や歯数のスプロケットを選ぶことが大切です。
スプロケットの交換時期や適切なメンテナンス方法にも注意を払い、バイクの走行性能を最大限に引き出しましょう。